9月28日は、カレンダー上の単なる一日ではありません。私が注目するのは、この日が現代社会の「光」と「影」を象徴するような、非常に多面的な歴史を持っている点です。
テクノロジーの大きな一歩と、個人の権利を守るための重要な判決が、この同じ日に刻まれました。
💻 テクノロジーの革命｜パソコン記念日の誕生
9月28日は「パソコン記念日」として知られています。これは、日本の技術史において非常に重要な出来事が起こった日です。
日本初の「個人」コンピュータ｜PC-8001の衝撃
1979年のこの日、NECから「PC-8001」が発売されました。これが、日本のパーソナルコンピュータ時代の幕開けを告げる号砲となります。
それまでのコンピュータは、企業や研究機関が使う巨大で高価なものでした。PC-8001は、その常識を覆し、「個人」がコンピュータを持つという新しい文化を生み出したのです。
なぜ168,000円が歴史を変えたのか
PC-8001の最大の功績は、その価格設定にあります。定価168,000円という価格は、当時の常識を打ち破るものでした。
20万円を大きく下回る価格設定により、多くの人が「自分でもコンピュータが買えるかもしれない」と考えるようになりました。私が考えるに、この価格戦略こそが、爆発的なパソコンブームを引き起こした最大の要因です。
PC-8001が作った未来の技術遺産
PC-8001は、キーボードと本体が一体化した洗練されたデザインも特徴でした。発売からわずか3年で約25万台を売り上げる大ヒット商品となります。
この成功が他のメーカーを刺激し、日本のパソコン市場が一気に活性化しました。その歴史的な重要性から、PC-8001は「未来技術遺産」にも登録されています。
⚖️ 個人の権利が確立した日｜プライバシーデー
テクノロジーが進化する一方で、9月28日は「プライバシーデー」でもあります。これは、個人の尊厳を守るための法的な戦いがあったことを示しています。
「宴のあと」事件とは？｜日本初の判決
1964年のこの日、東京地裁で「宴のあと」事件の判決が下されました。これは、作家・三島由紀夫の小説がモデルとなった人物の私生活を侵害したとして訴えられた裁判です。
結果は原告（訴えた側）の勝訴でした。この判決は、日本の司法史上初めて「プライバシーの権利」を法的に認めた、非常に画期的なものだったのです。
なぜ9月28日がプライバシーと関係するのか
この判決が下された日を記念して、9月28日は「プライバシーデー」と呼ばれるようになりました。私たちは皆、他人にみだりに私生活を公開されない権利を持っています。
その当たり前の権利が、この日の判決によって法的に確立されたのです。これは、私たちが現代社会で生きていく上で、非常に重要な基盤となっています。
情報社会への警鐘｜パソコンとプライバシーの皮肉な関係
9月28日に「パソコン記念日」と「プライバシーデー」が重なっているのは、非常に興味深い点です。私が思うに、これは現代社会の根幹をなすテーマを示唆しています。
パソコン（情報技術）は私たちの生活を豊かにし、情報のアクセスを容易にしました。しかし、その技術は同時に、プライバシー侵害の危険性もはらんでいます。情報へのアクセスと個人の保護、この二つのバランスを考える上で、9月28日は象徴的な日と言えます。
🇯🇵 国家を揺るがした9月28日の大事件
9月28日は、平和な記念日だけではありません。過去には、日本全体を揺るがすような深刻な事件も発生しています。
ダッカ日航機ハイジャック事件｜「超法規的措置」の決断
1977年のこの日、日本赤軍によって日航機がハイジャックされる「ダッカ日航機ハイジャック事件」が発生しました。犯人グループは、乗客を人質に身代金と服役中の仲間の釈放を要求します。
日本政府は「一人の生命は地球より重い」として、犯人の要求を受け入れる「超法規的措置」を決定しました。この苦渋の決断は、国内外で大きな議論を呼び、日本の危機管理体制に大きな影響を与えました。
安田善次郎暗殺事件｜財閥の巨星墜つ
1921年のこの日、安田財閥の創始者である安田善次郎が暗殺されました。彼は「ケチ」として有名でしたが、その裏では匿名で巨額の寄付を続けていた人物です。
東京大学の安田講堂も、彼が人知れず行った寄付（陰徳）の一つでした。社会不安が渦巻く時代に、彼の真意が世間に伝わらなかったことが、この悲劇の一因とも言われています。
東京都「ごみ戦争宣言」｜都市が直面した危機
1971年のこの日、東京都の美濃部知事が「ごみ戦争宣言」を発しました。これは、増え続けるごみの処理場をめぐる、区と区との深刻な対立（NIMBY問題）が背景にあります。
都心部のごみを押し付けられていた江東区が、ついに反旗を翻したのです。この宣言は、ごみ問題を「処理」から「市民全体の責任」へと意識改革させた、重要な転換点となりました。
🌍 世界と日本で記憶される多様な「顔」
9月28日は、さらにグローバルな視点や、私たちの生活に身近なテーマとも結びついています。
世界的な取り組み｜世界狂犬病デーと情報アクセス
この日は国連が定める「情報へのユニバーサル・アクセスのための国際デー」です。誰もが情報にアクセスできる権利を推進する日であり、パソコン記念日とも通じるものがあります。
「世界狂犬病デー」でもあります。これは、狂犬病ワクチンの開発者ルイ・パスツールの命日にちなんで制定されました。彼の功績が、今も多くの命を救っています。
日本独自の記念日｜いじめ防止対策を考える日
2013年に「いじめ防止対策推進法」が施行されたことを記念し、「いじめ防止対策を考える日」にもなっています。
社会全体でこの問題に向き合い、解決していくための決意が込められた日です。
遊び心満載！語呂合わせ記念日
日本ならではの「語呂合わせ」による記念日もたくさんあります。知っていると、ちょっとした雑談のネタになります。
- く(9)つ(2)や(8)の日 ｜ 靴屋の日
- ぎゅう(9)にゅう(2)や(8)の日 ｜ 和光堂牛乳屋さんの日
- グー(9)チョキ(2)パー(8)の日 ｜ まけんグミの日
- く(9)るまちゅう(2)こパー(8)ツの日 ｜ 自動車中古部品の日
🎂 9月28日生まれの著名人と季節の彩り
この日を誕生日に持つ著名な方々も多くいらっしゃいます。同時に、日本の豊かな四季を感じられる時期でもあります。
9月28日生まれの著名人・芸能人 🎂
9月28日生まれの著名な方々をご紹介します。
- ブリジット・バルドー（女優）
- ナオミ・ワッツ（女優）
- 伊達公子（テニス選手）
- 貴闘力忠茂（元大相撲力士）
- 渡辺美奈代（タレント）
- 吹石一恵（女優）
- ホラン千秋（タレント）
- 濱岸ひより（日向坂46）
- 山﨑天（櫻坂46）
季節の移ろい｜七十二候「蟄虫坏戸」
日本の暦では、9月28日頃は七十二候の「蟄虫坏戸（むしかくれてとをふさぐ）」にあたります。
これは、虫たちが冬に備えて土の中に隠れ、巣穴の入り口を塞ぐ時期という意味です。秋が深まり、冬の支度が始まる季節感を表しています。
この日の誕生花と旬の味覚 🌸
旬の食材としては、サンマ（秋刀魚）が最も美味しい時期を迎えます。秋なす、鮭、栗、きのこ類も食卓を彩ります。
誕生花は「フジバカマ」（花言葉｜ためらい、優しい思い出）や「シオン（アスター）」（花言葉｜追憶、君を忘れない）です。歴史的な記憶が刻まれたこの日にふさわしい花言葉です。
まとめ
9月28日は、単なる「パソコン記念日」ではありません。私がこの記事で伝えたかったのは、テクノロジーの進歩（PC-8001）、個人の権利の確立（プライバシーデー）、そして社会的な危機（ハイジャック事件やごみ戦争）といった、現代社会を形作る重要な要素が凝縮された一日であるということです。
この多様な側面を知ることで、カレンダーの一日がより深く、立体的に見えてきます。皆さんも、身近な日付に隠された歴史を探ってみてはいかがでしょうか。