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草壁シトヒ
くさかべしとひ
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七夕の節句になぜ「そうめん」?🎋 知られざる食べ物の深い意味と無病息災の願い✨

7月7日、七夕の季節が近づくと、スーパーの店頭には色とりどりの短冊や笹の葉、そして「そうめん」が並びます。私が子どもの頃、七夕といえばそうめんを食べるのが当たり前でした。

「どうして七夕にそうめんを食べるんだろう?」と、ふと疑問に思ったことはありませんか。実は、この習慣には1000年以上の歴史を超える、夏の無病息災を願う深い意味が隠されています。この記事では、七夕とそうめんの知られざる関係を分かりやすく解説します。

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七夕ってどんな日? 意外と知らない三重の起源

七夕といえば、多くの人が「織姫と彦星」のロマンチックな物語を思い浮かべるでしょう。しかし、日本の七夕は、その物語だけで成立したわけではありません。現代の七夕は、主に3つの異なる文化が融合して形作られています。

中国から来た星の伝説|織姫と彦星の物語 🌌

七夕の最も有名なお話が、織姫と彦星の伝説です。織姫(こと座のベガ)は機織りの名手、彦星(わし座のアルタイル)は働き者の牛使いでした。

二人は結婚し、幸せに暮らしますが、恋に夢中になりすぎてお互いの仕事(機織りと牛の世話)を怠ってしまいます。これに怒った天の神様は、二人を天の川の両岸に引き離し、一年に一度、7月7日の夜だけ会うことを許しました。これが、七夕の星物語の原型です。

芸事の上達を願う儀式|乞巧奠(きっこうでん)

中国から伝わったのは、星の伝説だけではありませんでした。「乞巧奠(きっこうでん)」と呼ばれる宮中儀礼も伝来します。これは、機織りの名人である織姫にあやかり、裁縫や機織りなどの「技術(巧み)」が上達するように祈る(乞う)儀式でした。

奈良時代に日本に伝わると、裁縫だけでなく、和歌や書道、琴など、貴族の嗜み全般の上達を願う儀礼へと発展しました。現代の私たちが短冊に「願い事」を書く風習は、この乞巧奠がルーツになっています。

日本古来の禊(みそぎ)|棚機津女(たなばたつめ)

中国から二つの文化が伝わる前から、日本には固有の信仰がありました。それが「棚機津女(たなばたつめ)」と呼ばれる儀式です。

これは秋の豊作を祈るため、村の乙女(巫女)が「棚機(たなばた)」という古い織機で神様に捧げる衣を織る、神聖な禊(みそぎ)の行事でした。この「タナバタ」という日本の古い言葉が、中国由来の「七夕(しちせき)」伝説と融合し、日本独自の「七夕(たなばた)」が誕生したのです。

🎋七夕に「そうめん」を食べる本当の理由

七夕の起源が、日本と中国の文化の融合にあることが分かりました。では、本題の「そうめん」は、どこから来たのでしょうか。この習慣も、実は中国の古い伝説に由来しています。

元々は「索餅(さくべい)」というお菓子だった

七夕にそうめんを食べる風習は、奈良時代に中国から伝わった「索餅(さくべい)」という食べ物にその起源を持ちます。索餅とは、小麦粉と米粉を練り、縄のように編んだお菓子(または麺)のことです。

当時は、これを油で揚げたり、茹でたりして食べていたとされています。しかし、索餅を作るのは手間がかかります。時代とともに、作り方が似ていてより簡素な「そうめん」が、索餅の代わりとして定着していきました。

無病息災を願う中国の古い伝説 📜

なぜ、索餅(そうめん)を食べるようになったのでしょうか。それには、中国のある古い伝説が関係しています。

その昔、帝の子どもが7月7日に亡くなり、その後に疫病が流行しました。人々は、その子が好物だった「索餅」を供えて供養したところ、疫病が鎮まったといいます。この伝説から、「7月7日に索餅を食べると、一年間病気にかからない」という無病息災の願いが込められるようになりました。

そうめんに込められた二重の意味|織り糸と天の川

そうめんが選ばれた理由は、索餅に似ているだけではありません。そうめんの細く白い姿は、七夕の物語において非常に象徴的です。

一つは、織姫が織る「織り糸」に見立てる説です。芸事の上達(乞巧奠)を願う意味合いと結びついています。もう一つは、夜空に輝く「天の川」に見立てる説です。そうめんを食べることで、織姫と彦星の物語を体内に取り込み、祭りの世界観と一体になるという意味合いがあったのでしょう。

そうめんだけじゃない!五節句と行事食の世界

七夕とそうめんの関係は、「無病息災」というキーワードで繋がっていました。実は、七夕のように季節の節目に特別な食べ物で健康を願う風習は、日本各地に存在します。

季節の節目「五節句」とは?

七夕は、江戸幕府によって定められた公的な休日「五節句(ごせっく)」の一つです。五節句は、季節の変わり目に邪気を祓い、無病息災や豊作を願う大切な行事でした。

  • 1月7日|人日(じんじつ)の節句
  • 3月3日|上巳(じょうし)の節句
  • 5月5日|端午(たんご)の節句
  • 7月7日|七夕(しちせき・たなばた)の節句
  • 9月9日|重陽(ちょうよう)の節句

これらはすべて、季節の植物や食べ物の力で、邪気を祓う目的を持っていました。

他の節句では何を食べる?|行事食一覧

五節句には、それぞれ象徴的な行事食があります。七夕のそうめんと同じように、すべて健康や長寿、繁栄への祈りが込められています。

節句の名称別名主な行事食込められた願い
人日の節句七草の節句七草粥無病息災・胃腸を休める
上巳の節句桃の節句菱餅・蛤のお吸い物子孫繁栄・良縁
端午の節句菖蒲の節句ちまき・柏餅子孫繁栄・厄除け
七夕の節句笹の節句そうめん(索餅)無病息災・芸事上達
重陽の節句菊の節句栗ごはん・菊酒不老長寿・邪気払い

こうして見ると、私たちが昔からいかに「食」を通じて季節の変わり目を乗り越えようとしてきたかがよく分かります。

笹や短冊に込められた意味|七夕飾りの秘密 🎋

七夕の主役である「笹」と「短冊」にも、もちろん深い意味があります。笹は、まっすぐ天に伸びる姿や、冬でも青々としている生命力から、神様を招くための「依り代(よりしろ)」とされました。

短冊の「五色(ごしき)」|青・赤・黄・白・黒(紫)は、中国の陰陽五行説に由来します。これらは万物を構成する基本要素であり、魔除けの意味を持っています。この神聖な笹と五色の短冊に願い事を結びつけることで、神様に願いを届けてもらおうとしたのです。

まとめ|七夕のそうめんは健康を願う伝統の味

七夕にそうめんを食べる習慣は、単なる語呂合わせやイメージではありませんでした。それは、古代中国の「索餅」伝説に由来する「無病息災」の祈りが込められた、大切な食文化です。

さらに、そうめんの姿は織姫の「織り糸」や「天の川」を連想させ、七夕のお祭りを一層盛り上げる役割も担ってきました。今年の七夕は、織姫と彦星の物語に思いを馳せながら、1000年以上続く人々の健康への願いが詰まったそうめんを、ぜひ味わってみてください。

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